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カテゴリー: 推しの逸品

これまでの発掘調査や整理作業で発見・掲載した遺物や遺構の中から,「これは」という「推しの逸品」を担当職員が紹介します。

「土馬」(どば)小瀬戸遺跡(姶良市)

土馬とは,馬の形をした土製品です。ピット(小さい穴状の遺構)の中から出土しました。色が黒く,頭部や尾部(びぶ)は欠けていて,頭部が大きく,四肢が短いです。また,足や背中に穴があけられており,焼成用の空気抜きの可能性があります。

鹿児島では,このような土製品が古代官道(かんどう)周辺で出土する例が多く,外来の災厄(さいやく)を防ぎ,村内の疫病を追い出し,土地神を和(なご)めるための祭祀(さいし)に用いられたのではないかと考えられています。

「馬の鞦(しりがい)」大坪遺跡(出水市)・新城跡(阿久根市)

近世の磁器製品である「鞦(しりがい)」は,馬具の一種で,馬の尾の下を通して鞍(くら)や車の轅(ながえ)を固定するための帯(緒)のことです。坂道を下るときなどに鞍が前へ滑るのを防いだり,馬車を引く際に,馬の体と轅を安定させたりします。

透明釉が内側のみにかかり,外側にはかかっていません。綱の滑りをよくするため,内側のみに釉薬がかけられたと思われます。

 

「馬形陶製品」(雪山遺跡:日置市東市来町)

陶製の馬です。足の先端以外は緑褐色の釉薬(ゆうやく)がかけられています。鬣(たてがみ)が詳細に表現されているほか,背中側の首付近と尾っぽ付近,足の先端に円形の穴があけられています。

明治25年に馬牛の供養や無病息災の祈願祭(きがんさい)として始まったとされる「湯之元馬頭観音馬踊り」に関連する資料と考えられます。穴のところに華やかな装飾を刺して鈴掛馬のようにしたのでしょう。

 

 

 

「貝塚」市来貝塚(いちき串木野市)・出水貝塚(出水市)

貝塚は縄文時代のゴミ捨て場のイメージがありますが,実はそこから多くの情報を得ることができます。

色々な貝殻や,土器,石器,動物の骨や人骨も見つかっています。動物の骨の中には熊の骨も見つかっていることから,縄文時代には鹿児島にも熊がいたことが分かります。

現在,令和7年4月26日(土)~7月6日(日)まで,上野原縄文の森企画展「古代人に学ぶ“MOTTAINAI(もったいない)”」で,市来貝塚・出水貝塚の剥ぎ取り資料が展示されています。1mの近距離で見られますので,どんなものが貝塚に埋まって残されているのか,じっくり観察することができます。

「円盤状土製品」小牧遺跡(鹿屋市)

縄文時代後期の土坑(円形に掘られた穴)の埋土上部から,同一の土器から作られた円盤状の土製品が20個ほどまとまって出土しています。それらの土器の上に,大きな口縁部片をかぶせて置いていたと思われます。

円盤状土製品の製作過程や保管状況と,当時の人々の土器の廃棄方法や祭祀・儀礼にまつわる慣習や精神文化が垣間見える数少ない例です。

※ 円盤状土製品は漁に使用する網の錘という説もあります。

令和7年4月26日(土)~7月6日(日)まで,上野原縄文の森企画展「古代人に学ぶ“MOTTAINAI(もったいない)”」で,展示しています。

『公益財団法人鹿児島県文化振興財団埋蔵文化財調査センター発掘調査報告書』(52)「小牧遺跡4(縄文時代前期~弥生時代初頭編)」第1分冊第2分冊第3分冊

土坑15号の写真

土坑15号の実測図

出土した円盤状土製品

「埋められた石皿」小牧遺跡(鹿屋市)

小牧遺跡では,縄文時代後期前半の環状に並んだ可能性がある竪穴建物跡や,土坑・集石などを伴う集落跡が,多量の土器・石器とともに発見されました。

また,国見山系の花崗岩製石皿を意図的に立てて埋めたと思われる,多数の石皿立石遺構が発見されています。

使用していた石皿の割れ口を上にしたり,長辺を縦にして意図的に立てて埋めたりしているのが見つかりました。また,複数の石皿片や礫を積み重ねている例もあり,高さを意図していたのではないかと思われます。

令和7年4月26日(土)~7月6日(日)まで,上野原縄文の森企画展「古代人に学ぶ“MOTTAINAI(もったいない)”」で,展示しています。

『公益財団法人鹿児島県文化振興財団埋蔵文化財調査センター発掘調査報告書』(52)「小牧遺跡4(縄文時代前期~弥生時代初頭編)」第1分冊第2分冊第3分冊

立石遺構28号

「鯨の骨製品」黒川洞穴(日置市)

鯨骨製のヘラ状製品です。靴ベラのようですが,アワビオコシの可能性が指摘されています。

正面背面ともに横方向の面取り,斜め方向の丁寧な研磨を施しています。穿孔は両面から行われており,正面に孔が1つ確認できます。縄文時代後期(約4,000年前)の遺物と考えられています。

実測図だけ掲載していますので,上野原縄文の森企画展「古代人に学ぶ“MOTTAINAI(もったいない)”」(令和7年4月26日(土)~7月6日(日))で実物をご覧ください。

『鹿児島県立埋蔵文化財センター発掘調査報告書』(222)「黒川洞穴」(PDF)

 

「縄文時代のかんざし」黒川洞穴(日置市)

中型哺乳類の手足の骨で作ったかんざし状製品です。 先端部はナナメ方向の研磨によりヘラ状に仕上げています。装飾部には2方向からの刻みを施し,裏面に一部髄質が残っています。

とても見事なかんざしです。縄文時代後期(約4,000年前)の遺物と考えられています。

実測図だけ掲載していますので,上野原縄文の森企画展「古代人に学ぶ“MOTTAINAI(もったいない)”」(令和7年4月26日(土)~7月6日(日))で実物をご覧下さい。

『鹿児島県立埋蔵文化財センター発掘調査報告書』(222)「黒川洞穴」(PDF)

「破鏡(破鏡)」本御内遺跡(霧島市)

本御内(もとおさと)遺跡(現在の国分高校)で出土した青銅鏡です。地下水位が高い還元状態で埋蔵されていたため,とても状態が良いです。

「破鏡」といって,北部九州の有力者などが,鏡を分割して周辺や地方の有力者へ,友好の印として分配した物と考えられています。

どのような人物が霧島市国分周辺にいたのか気になる遺物です。

令和7年4月26日(土)~7月6日(日)まで,上野原縄文の森企画展「古代人に学ぶ“MOTTAINAI(もったいない)”」で,展示しています。

『鹿児島県立埋蔵文化財センター発掘調査報告書』(12) 「本御内遺跡Ⅰ」(PDF)

破鏡

実測図